児ポ法改正は児ポだけの問題じゃない(2)

昨日の続き。
児童ポルノの単純所持違法化について「じゃぁどこまでが児童ポルノなのか?」っていうのを明確にはっきりと決めないといけないんです。
昨日も書いたけど現行法で児童ポルノとされているのは
1. 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

2. 他人が児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為又は児童が他人の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

3. 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(略称: 児童買春・児童ポルノ処罰法)(平成11年法律第52号)の2条3項より)
これが現状の日本での「児童ポルノ」の定義。
特に3.です。
児童=18歳未満、と定義されているので(日本ではね)、17歳の水着写真は児童ポルノになるのか。
これは3.に基づいた解釈で、児童ポルノである、とも判断できるし、児童ポルノではない、とも判断できます。キワドイ露出の激しい水着であろうがスクール水着であろうが、果ては女性であろうが男性であろうが、水泳選手であろうが。
このようにひじょーーに曖昧な定義のまま単純所持を違法化してしまうと、何のための改正なのか、さっぱり訳がわからなくなります。
実際先日の審議会で自民党の議員は「ジャニーズでも乳首が出てれば児童ポルノに該当する」と公の場で発言してます。審議会のメンバーである議員が、です。
自民党の議員の発言、ってことは、これが自民案です。ジャニーズも18歳未満で上半身裸の時点で児童ポルノです。17歳11ヶ月30日でも。
これを国会議員が公の審議会で発言しています。

まぁ、本来書きたかったのは児童ポルノのことだけじゃなくて、「児童ポルノ」の定義をもっと明確にしてもらわないと今度は「表現の自由」が侵されることになります。
あくまでも一例だけど、17歳のモデルを使って水着姿の写真を撮る写真家がいたとしましょう。これはこの写真家にとっては「芸術活動」であり、表現の手段です。
でも、これも児童ポルノに該当する可能性があり、作ってはいけないし、例えその写真が発表されても持っててもいけません。データとして持っててもいけません。違法です。すなわち犯罪です。
ジャニーズの昔に発売された当時18歳未満の上半身が裸の写真が写ってる水着姿が掲載されている写真集を所持しているだけで犯罪者になる可能性が極めて高いです(自民案がそのまま通れば)

これは児童ポルノ、という問題だけでなくて、表現、思想の自由の介入、ということを意味します。
17歳の男性アイドルのファンになること=犯罪者、という空気を作り上げることも簡単です。
つまり、一つの法律の施行により、表現・思想の自由と言うものへの国家の介入が簡単になります。

本当に偶然なのかもしれないけれど、ホントたまたまだったのかもしれないけれど、児ポ法改正の話は1年ちょっとくらい前から本格化してきて、その時に同時進行で活発化してきた話題に
人権擁護法案
外国人参政権
があります。まぁただの偶然なんでしょうけどねーーー。

人権擁護法案はその名の通り人権を守る、という、一見素晴らしい法律ですね。
うん、人権は守られなきゃいけない。全く持ってその通りです。

外国人参政権。日本人でなくても一定期間日本に住んでいる外国人には参政権を与えようじゃないの、ってやつですね。
韓国では外国人参政権認められてるんだから日本でもやろうよ、と。
ふむ。

人権を守る、ということは、人権が侵される可能性のある人への誹謗中傷などしちゃいけない、ってことでもあります。いわゆるマイノリティへの攻撃です。
うん、そりゃ良くないよね。
今のところ在日外国人はマイノリティです(あくまでも日本の人口の比率での話)。在日外国人だからと言って差別されることもあるでしょう。決して良いことではありません。
でも、人権擁護法案では差別することを犯罪と認定します。
「外国人お断り」のアパートの家主は犯罪者になります。外国人を差別したから。ここでも表現・思想の自由が侵されますね。

あら偶然、児童ポルノ法も、表現・思想の自由への国家による介入。人権擁護法案も表現・思想の自由への国家の介入です。
まぁ、たまたまでしょう、たまたま。
児童ポルノ法案で表現・思想の自由への国家の介入はあるんだぞ、と一段階踏んだ上で、人権擁護法案でさらに表現・思想の自由への国家の介入を国を挙げて進めるなんて、考えすぎですよね。

在日外国人への差別も人権擁護法案が施行されれば犯罪です。
在日外国人参政権が認められたとしましょう。
数年間日本に滞在している外国人には参政権を与える、と。
あくまでもありえない仮定の話で馬鹿げてる話ですが、10億人以上国民がいるアジアのある国から1億人日本に引っ越してきたとしましょうね。
その1億人が数年間日本で暮らして、外国人参政権を取得したとしましょう。
いや、ありえないから仮定の話ですから。
その頃には在日外国人への差別は犯罪だ、っていう認識はすっかりなじんでいるでしょうね。差別したら犯罪者だから。
1億人の選挙権を持つ日本人と、外国人参政権を取得した1億人の外国人。選挙権の1票の重みは当然日本人も参政権を取得した外国人も同じです。
仮にですが、日本をある国の支配化に置くことをマニフェストに掲げた政治団体が立候補したとします。あくまでも「仮に」です。
1億人の日本人がそれに反対して異なる団体に投票しても、ある国に本籍のある参政権を取得した1億人の外国人がそのマニフェストに賛同して一致団結して投票すれば、その団体は与党になりますよね。
外国人への差別は犯罪です。

とまぁ、ありえない、SFレベルの仮定の話でした。
でも、ゼロパーセントではない。ありえないとは断言できないお話です。
すっかり表現・思想の自由ってのは全ては認められないんだ、と思い込んだ日本人がこのような立場になってしまう可能性がゼロではなくて、そのとっかかりとして児ポ法改正があって、あおれはあくまでも第一段階に過ぎない、っていうトンデモ仮説をネットに上げることも、人権擁護法案施行後は犯罪になるので今のうちに書いておきました。

まだ続くかも。